EPISODE
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ご自宅への一時帰宅が叶い、
ご主人様の遺影と静かな語らいを。
看取りケア
87歳 (女性) H様 /ウェルケアガーデン馬事公苑
2021.06.02

ご帰宅願望を強く持ちながら、次第に衰弱が進み、看取りケア対応へ。

ご入居当初は体力的にお元気でしたが、認知症を発症しており、ご自宅のある「駒沢に帰るわ。」が口癖だったH様。お年を重ねるにつれてADL(日常生活動作)も低下し、介護度は要介護5となり、その状態に合わせたケアを行っていました。しかし、老衰が進むにつれて、発語はあるもののお食事や飲み物の経口摂取を拒否されるようになってしまいました。点滴投与で栄養や水分を摂取する日々が続いたことから、お看取りを前提としたケアに切り替えることになりました。
ご入居以来、自立生活できる方が多い4階の居室にお住まいでしたが、看護師の目が行き届く1階に移動していただき、穏やかな最期をお迎えいただくためのケアを開始しました。

タイミングを見計らって駒沢のご自宅へ一時帰宅を実現。

ずっとご自宅に帰りたがっていたご本人のご希望を叶えるために、体調や覚醒状態などを見計らって「ここだ!」というタイミングに一時帰宅を実現。ホームの副支配人と看護師が同行し、リクライニング車イスに乗っていただき、車でゆっくりと移動しました。 ご自宅では、急なご帰宅にもかかわらず姪御様が立ち会ってくださったため、ご本人も安心されたご様子でした。いつもは多弁な方でしたが、ご自宅ではご主人様の遺影と約15分間にわたって無言のまま静かに向き合っていらっしゃいました。姪御様はその様子をご覧になりながら、「二人でお話ししているのでしょうか。」と静かに涙を流されていました。同行したスタッフも思わずもらい泣きするほどの胸を打たれるような光景を今も忘れることができません。 最後に写真撮影した際にはご本人はもちろん、みんなとてもいい笑顔になり、心静かなひとときを過ごすことができました。