EPISODE
01
パーキンソン病と闘いながら、
閉じこもり生活を脱却して“本来の自分”へ。
自立支援介護
84歳 (女性) A様 /ウェルケアテラス川口元郷
2021.06.02

脱水症状から幻覚・幻聴が。不安や混乱から閉じこもりの毎日。

パーキンソン病を発症し、病院や高齢者施設を転々とされているうちに友人知人との交流もなくなってしまい、自然と閉じこもりがちな生活になってしまったA様。ご主人が他界されたことにより独居となり、当ホームへご入居されました。
入居当時は「袋の中から動物が出てきた。」「窓の外に人がいる。」などといった幻覚・幻聴症状がありました。さらに「調子が悪いからご飯が食べられない。」「フラフラするから食堂へ行けない。」と仰って、1日中ご自身のお部屋に閉じこもる毎日でした。
A様の1日の水分摂取量が約500mlと明らかに少ないことから脱水症状と判断しましたが、飲み物を勧めても「飲みたくない。」「どうせもう駄目だから…。」と飲んでいただけずに、さらに脱水を引き起こす状態に。普段の体調を整えるための「水分・食事・排泄・運動」の4つの基本ケアが進まず、不安・混乱が増大する悪循環に陥っておられました。

ご本人とスタッフとの間に信頼関係を築き、4つの「基本ケア」を開始。

そこで、恐怖心や不安を取り除き「生活に対する意欲」を引き出し、安心してお暮しいただくために、 A様との信頼関係作りをケアの「はじめの一歩」と据え、以下の4点を軸に動き始めました。 ①こまめに居室に行き顔を合わせる。 ②ご本人のお好きな相撲や編み物のお話をする。 ③一緒に片付けをしながらお話しする。 ④他のご入居者と顔を会わせる機会をつくる。 スタッフとの信頼関係、そして他のご入居者との友人関係が構築され始めたことで、私たちの提案も徐々に聞いてくださるようになり、「水分・食事・排泄・運動」の4つの基本ケアが進められるようになりました。 特に、脱水症状の改善を図るための水分ケアについては、A様が苦痛に感じられないように飲み物の嗜好、タイミング、ご本人の気分やその日の気温などを考慮し、自ら飲んでいただく環境づくりを工夫して行いました。その結果、「水分を勧められるから飲まないといけない!」というプレッシャーから解放され、自然と飲んでいただけるように。 さらに、だんだんと離床時間が増えてきたことで歩行訓練を開始し、1日3回、食堂にスタッフと一緒にシルバーカーを使用して行ったり、ホーム内をスタッフと散歩したりと、活動性を上げていかれました。

久しぶりの外出で近所のパン屋さんへ。他愛ないおしゃべりで、あっという間に時間が過ぎました。

活動性が向上し、歩行状態も安定してきたA様。パンがお好きということで、近所のパン屋さんまで歩いて行かれることに。久しぶりに外を歩くことではじめは不安もありましたが、自然と歩幅も広くなり、ホームの中を歩いているときとは大違い!お店に着いて食べたいパンを選び、お会計もご自身で行いました。その後は、店内のイートインで大好きなコーヒーと一番人気のパンを召し上がられ、同行したスタッフと他愛ないおしゃべりをして、楽しい時間を過ごされました。ホームからパン屋さんまで1㎞ほど歩かれましたが、「まだ大丈夫、歩けますよ。」と笑顔で歩いておられました。