若い頃から音楽業界でプロモーターとしてご活躍されており、毎晩コンサートに行かれるほど音楽を聴くことがお好きだったA様。2018年に行った十二指腸がんの手術により下痢症状が頻回となってしまい、それによって外出を控えるようになってしまったのです。
当ホームにご入居されたのは2021年のこと。ご入居当初からホーム内は自立にて歩かれておられましたが、ご本人の『外を自由に歩きたい』という強い想いを受け、屋外歩行訓練を毎日行っておりました。

ご入居から１年半後。「一人で外出したい」と仰っていたA様は、ご家族から“近隣のお店まで”という条件付きで許可を得られ、お一人での外出ができるようになりました。
私たちは、A様が次のステップに進まれるときだと考え、『HAPPINESS AGING』の取り組みについてお話させていただいたのです。

『HAPPINESS AGING』とは、身体的な改善の先にあるご入居者本人の想いをヒアリングし、その想いや願いを実現させるためのホーム独自のプロジェクトです。
ヒアリングを行うと、A様は「失禁が怖くて外出をためらっていたけれど、本音は今までの生活を取り戻したい」という想いを私たちに伝えてくださいました。
その想いを叶える第一歩として、以前A様と関わりのあった方のコンサートに行くことを次の目標としました。

歩行訓練により、段階的に歩行距離を伸ばすことができ、A様は完全に自信を取り戻されました。不安だった失禁についても訪問医の協力により解消され、迎えた当日…。
無事に、目標だったコンサートを満喫されました！
ホームに戻られた後も、冷めやらぬ余韻の中で、「自分の状態だともう二度と行けないと思っていたけど、職員の方がついてきてくれて、楽しい時間を過ごすことができました。本当にありがとう。」と嬉しそうに、一番の笑顔を見せてくださいました。