EPISODE
33
家族で過ごす、かけがえのない最期のとき
看取りケア
93歳 (男性) E様 /ウェルケアヒルズ馬事公苑
2024.10.31

もう一度ウェルケアヒルズ馬事公苑へ

E様ご夫妻は元々2019年からウェルケアヒルズ馬事公苑にご入居されていましたが、ご本人の都合により一度退去となります。そして、2022年3月に他の有料老人ホームから再びご夫妻でのご入居となりました。再入居された際、旦那様であるE様は以前とは違い、車イスを日常的に使用し、体重も低下。栄養状態の悪化も見られました。
数ヵ所の有料老人ホームをご経験された上で、今回、ホームに戻るきっかけとなった要因は、食事とリハビリテーションの質の高さとのことでした。

ステージⅣの癌と向き合って出した答え

著しく低下したADL、体重、栄養状態はホームでのリハビリなどにより徐々に改善され、持病であるパーキンソン病の進行はあるものの、お元気に過ごしていらっしゃったE様。
ところが2023年3月に癌の進行が見つかり、4月には誤嚥性肺炎により緊急入院。癌のステージはⅣのため、入院治療をするかどうか、ご本人、ご家族、往診医、ホーム職員の間で見解が異なり、繰り返し意見交換を行いました。
そして、最終的な結論としては、ご本人の意思を尊重して治療は肺炎だけとするもの。2週間で退院し、ウェルケアヒルズ馬事公苑で最期まで自分らしく生活することをお選びになられました。

ご本人の最期の望みを叶えるために

ご本人のご希望もあり、当ホームで大事にしていたのは次の2つでした。
最期まで自分らしく好きなものを家族と食べること。
そして、職員の世話になってもいいから最期までオムツをしないでトイレに行くこと。
私どもは、誤嚥を繰り返されるご本人に本当に安心して食べていただける大好きなものだけを選んでご提供し、また、少しでもご自身の足でトイレに行けるよう、居室環境整備についての検討を重ねました。

家族団欒の尊い時間―

亡くなる前日のことです。ご本人のご希望で、お嬢様が小さい頃によく作られていたフレンチトーストをご家族で一緒にいただき、さらに、ご夫婦の思い出が詰まったお菓子も、ご夫婦二人で召し上がられました。とても和やかで、尊い、家族団欒の時間をお過ごしいただくことができました。

さいごに・・・

お亡くなりになる2日前まで、入院治療の方が正しい選択ではないかと悩む奥様、家族と会えなくなるから入院はしないというご本人。 ご家族の思いが何度も何度も揺れ動きましたが、その都度お悩みを共有し、ご家族の不安と温かさに寄り添ったお看取りケアでした。
そして、最期までご本人の意思を最大限尊重できたことに対し、ご家族からは深い感謝のお言葉を頂戴することができました。
その後、以前はリハビリをお誘いしても「いいわ」と拒否されていた奥様ですが、「自分の身体は自分で保つリハビリの大切さを、かけがえのない主人に教えてもらいました。」と、今では積極的にリハビリに励まれております。